社会心理学の決定版。なぜ人は動かされるのか?を研究した本です。人から【自動的行動】を引き出すための【影響力の武器】は6つあり、社会のあらゆるところで利用(悪用)されているという豊富な具体事例と、その防衛法が紹介されています。私も経営の現場で、商品の値段を高くするべきか安くするべきか相談されることがよくあるのですが、大抵、限界まで上げます。理由はなく、経験則。本書を読んで、それを心理学的にも説明できるようになりました。第1版は、値段が高かったので、買うのを渋っていたのですが、第2版は増補されて、さらに、お安くなりました。もっとはやく読んでおけば良かったです。


本書を読めば、

・動物に見られる【固定的行動パターン】とは?いくつかの人間行動とどのような点で類似しているだろうか?どの点で異なるだろうか?
・【返報性のルール】とはなにか?私たちの社会では、なぜこのルールが強力に作用するのか?
・録音笑いによってコメディー番組のネタへの観客の反応がどのように変わるかを社会的証明の原理に基づいて述べよ。
・集団間に敵意が生じた後、どのような手続きがそれを弱めるのに効果があったか。どのような手続きが役に立たなかったか?

というような問題の答えがわかります。

平易な文章で書かれているので、心理学の本を読んだことのない方でも安心して楽しく読めると思います。特に、勧誘に弱い方・営業職・経営者などにオススメです。有効活用して下さい。

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<勉強メモ>


■ 小さな影響力の武器

・ステレオタイプ。高いもの=良いもの という思ってしまいがちだ。
・人に何か頼みごとをするときには、理由を添えた方が成功しやすくなる。
・知覚のコントラスト:二番目に提示されるものが、最初のものとかなり違う場合、実際以上に異なっていると考えてしまう傾向がある。



■ 6つの影響力の武器

・返報性
他者から何かを与えられたら自分も同様にお返しすることを義務づける。望みもしない行為を最初に相手から受けた場合にも適用される。ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック。

防衛法:最初の好意や譲歩は誠意を持って受け入れ、後でトリックだとわかった時点でそれを再定義して判断する。


・コミットメントと一貫性
ほとんどの人には、自分の言葉・信念・態度・行為を一貫したものにしたい、他人にそうみられたいという欲求がある。コミットメント(自分の意見を言ったり、立場を明確にすること)をしてしまうと、人はそのコミットメントに合致した要請に同意しやすくなる。行動を含み、公にされ、努力を要し、自分がそうしたかった(強制されたのではない)のだと、見なされるコミットメントが最も効果的である。コミットメントを伴う決定は、それが間違っているときでさえ、【自分を支える脚を作る】(それが正しいということを示す新しい理由や正当化を付け加える)ようになる。

防衛法:今知っていることはそのままにして時間を遡ることができたら、同じコミットメントをするだろうか?と自分に問いかけること。直感を信じて。


・社会的証明
人がある状況で、何を信じるべきか、どのように振舞うべきかを決めるために使う重要な手段の1つは、他の人々がそこで何を信じているか、何をしているかである。不確かさ(自分が確信を持てないとき、状況が曖昧なとき)、類似性(類似した他者の行動が人々の行動に強い影響力を持つ。)の2つの場合に、強い影響力を持つ。

防衛法:誤った社会的証明に影響されないためには、類似した他者が行っている明らかに偽りの証拠に対して敏感であること。


・好意
人は自分が好意を感じている知人に対してイエスと言う傾向がある。好意に影響する要因の1つとして、その人の身体的魅力があげられる。(美人は得をする。)第2の要因は、類似性である。不快な環境よりも快適な環境での接触。共同。連合。

防衛法:要請者とその申し出の内容を心の中で区別し、メリットとデメリットを良く吟味すること。



・権威
権威者に対して自動的に反応する場合、その実体にではなく権威の単なるシンボルに反応してしまう傾向がある。肩書き・服装・装飾品。

防衛法:2つの質問をする。この権威者は本当に専門家なのか?どの程度誠実だと考えられるか?


・希少性
人は機会を失いかけると、その機会をより価値のあるものとみなす。数量限定・最終期限。【心理的リアクタンス】は、生涯あらわれるが「おそるべき2歳」と十代が顕著になる。2つの最適条件。希少なものの価値は、それが新たに希少なものとなったときに一層高まる。他人と競い合っているときに、希少性の高いものに最もひきつけられる。

防衛法:希少性を含むような状況では、頭にカッと血がのぼらないように心がけること。

影響力の武器[第二版]影響力の武器[第二版]
(2007/09/14)
ロバート・B・チャルディーニ

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韓非子

韓非が人の名前で、【子】をつけると、書物の名前になるようです。聖人君子の時代の次の、戦乱の世の人。殷・周・(春秋戦国)・秦・漢の、春秋戦国時代の人です。前233年。秦の王(政)に殺され、その一生が終わってしまいましたが、この王が、その思想を実現し、かの有名な秦の始皇帝になったとされています。師匠である荀子は、性悪説。『どんな凡人でも、善を積んで、それを完全に身につければ聖人となる。』これに対して、韓非は、『人間が現実に欲望によって動くことを知り、それに対策を講じること。』人間を善に導くということなど念頭になく、君主による人民の統治が目的である。

戦乱の世では、仁義は役に立たない。世の中は聖人だらけではない。悪人もいる。

・功利的な人間観
・法術(法と、法を操る臣下操縦術による支配。)
・刑徳(賞罰の徹底)
・刑名賛同(言ったことと実績を照らし合わせること。言ったことができなくても、言った以上のことを行っても罰する。)



内儲説(上)より

君主が使う『術』は七つある。

1.臣下の言葉を事実と照合すること
2.法を犯したものは必ず罰して威光を示すこと
3.功労者には必ず賞をあたえ、全能力を発揮させること
4.一人一人の言葉に注意し、発言には責任を持たせること
5..詭計を使うこと。
6.知らないふりをして相手を試すこと。
7.ウソやトリックを使って相手を試すこと。


※個人的に、5〜7はいかがなものかと思いますが、1〜4はとても重要なことであると思います。

へぇ〜情報:
かの有名な【矛盾】の作者でもあります。

最近、リーダー・心理学研究にはまっています。日本人の100人の4分の1は、65歳以上の高齢者。100人に2人は、認知証患者。これが現実。日本の生産力を向上させるには、リーダーの育成が決め手になるのではないかと感じています。今の20〜40代は本当に大変。上も下も見なくてはならない。私の役目は、おそらく、リーダーになることではなく、リーダー育成係のようです。集団心理学の良いテキストを探していたところ、中国思想に行き着きました。中国思想は、人としての生き方や、人と人の関係に注目している点が面白いです。科学がいかに進歩しようとも、人の心は、2300年も前から変わることはないのかもしれません。まずは、孔子と韓非子(かんぴし)をさらっと見ています。

韓非子 (中国の思想) 韓非子 (中国の思想)
(1996/03)
徳間書店

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